難易度の高い証券化

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ホテルには、都市型ホテル、ビジネスホテル、リゾートホテル、旅館、カプセルホテルなどの種類がある。そして、ホテルの経営方式には、①直営方式、②フランチャイズ方式、③運営受託方式などがある。証券化の対象としては、都市型ホテルが堵えられるが、地域の優位性や運営主体の運営能力などに注意する必要があり、一般に証券化としての難易度は高いといわれている。工場や倉庫は、それを利用する企業に合わせて造られている例が多く、個性が強く、転用や譲渡が難しい。このため、一般に、証券化には馴染みにくいといわれる。また、工場の証券化の場合には、環境問題に関わるリスクに注意する必要がある。事例では、アサヒビール束京工場の証券化や1999年7月の三井造船による大阪にある倉庫の証券化の判例がある。土地は、そのままではキャッシュフローを生みにくいので証券化の対象となりにくいが、開発分譲や賃貸用不動産の建設などを行なうことで証券化の対象となり得る。具体的には、マンションの開発分譲事業で証券化の事例がある。しかし、この場合、マンションが販売し終えるまで収益が発生せず、事業リスクを負うことになるため難易度は高い。

開発事業の証券化

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1998年9月に、三菱地所と東京海上は、不動産特定共同事業法の匿名組合方式を用いて、大規模マンション開発事業の証券化を行なった。証券化の対象は、三菱地所など8社が、共同で東京都港区に所在する汐留の旧国鉄跡地に1998年秋に着工した1,070戸の分談マンションで、このうち三菱地所が請け負う部分である。まず、三菱地所を営業者、ケイマンSPCを匿名組合出資者とする匿名組合契約が締結され、ケイマンSPCは、匿名組合出資、すなわち、将来の分譲収益を受け取る権利を裏付けに、期間5年のユーロ円債(ゼロクーポン債)と株式を発行した。三菱地所は、調達した46億円を利用し、マンションの開発分譲を行なう。5年後の2003年秋の事業完了時に、東京海上は、ユーロ円債の元本の償還と株式の価値相当額の支払いを受けることになる。なお、開発分譲型では、事業終了時まで事業収益が発生しないため、ケイマンSPCは、利付債ではなく、ゼロクーポン債を発行した。ケイマンSPCを介在させ、最終的な商品を社債と株式の有価証券とすることで流動性を高めている。この事例では、優先劣後構造などの信用補完措置は、特に施されていないという。東京海上は、三菱地所と同様の事業リスクを負っているといえる。事業リスクの測定は、類似の大規模マンション開発事例が少ないことや事業期間が5年と長く、地価や住宅市場の動向を把握しにくいことから、かなり難しい。「流動化」とは、不動産取引の活発化、不動産市場の活性化という意味から、より流動性の高い権利への変換までを含む広い概念である。